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「自信」のバランス理論による解釈

 ソシオン理論では「他者に対する自分の気持ち」や「自分に対する他者からの気持ち」だけでなく、図1、図2のように「自分に対する自分の気持ち」も考慮して分析する(参照)。

図1 図2
図1
図2

 自分に対する自分の気持ち、すなわち自己評価には「評価する自分」と「評価される自分」が存在する。すると【自我・超自我・エスの三者間バランス】で述べたように自己を分割して他者を含めた三者関係にハイダーのバランス理論が適用できそうである。そして、実際に適用してみると、自分の言動や他者への思いに対する「自信」と関係ありそうなことが分かる。

 自分のことが好きな人、すなわち自己評価がプラス(Waa > 0)の人が他者 c を評価している状態は図3、図4のようになる。図3は他者をプラスに評価している場合(Wac > 0)で、図4は他者をマイナスに評価している場合(Wac < 0)である。

図3 図4
図3
図4

 「自分(a)」を「自分を評価する自分(a)」と「自分に評価される自分(b)」に分けて、「自己評価(Waa)」を「評価する自分による評価される自分の評価(Wab)」として図3、図4を三者関係の図で表すと図5、図6のようになる。

図5 図6
図5
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者
図6
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者

 「自分を評価する自分(a)」と「自分に評価される自分(b)」の他者 c に対する評価は一致している(Wac = Wbc)とみなした。例えば、「音楽(c)が好きな自分(b)が好き」と言っている自分(a)も音楽(c)が好きだからである。
 図5も図6もバランスが良く安定している状態である。だから、自分 a と b の c に対する評価は変わる必要がない。

 では、図7、図8のように自分のことが嫌いな人、すなわち自己評価がマイナス(Waa < 0)の人が他者 c を評価している場合はどうなるであろうか。

図7 図8
図7
図8

 「自分(a)」を「自分を評価する自分(a)」と「自分に評価される自分(b)」に分けて、「自己評価(Waa)」を「評価する自分による評価される自分の評価(Wab)」として図7、図8を三者関係の図で表すと図9、図10のようになる。

図9 図10
図9
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者
図10
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者

 図9も図10もバランスの悪い不安定な状態である。図9のように c を好きになっても、図10のように c を嫌いになっても落ち着かない。図11、図12のように自分の他者に対する評価が分裂する異常な状態になって初めて安定する。

図11 図12
図11
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者
図12
a:自分を評価する自分
b:自分に評価される自分
c:他者

 図11は「私(a)の嫌いな私(b)はあなた(c)のことが好きなようだけど、私(a)はあなた(c)のことが嫌い」という状態で、図12は「私(a)の嫌いな私(b)はあなた(c)のことが嫌いなようだけど、私(a)はあなた(c)のことが好き」という状態である。文章にすると辻褄が合っているようだが、c の立場で見ると、a(= b)に好かれながら嫌われているような、理解しにくい状態になる。「私はあなたのことが好きよ。でも嫌い」と言われているような状態である。抱き締められながら突き飛ばされて、撫でられながら引っ掻かれて、キスをされながら唾を吐かれて、舐められながら噛み付かれるような状態(参照:Mr.Children「掌」)である。

 図5、図6のように自分のことが好きな場合は、他者を好きになっても嫌いになっても安定しているので、自分の選択に対して自信が持てるだろう。それに対し、図9、図10のように自分のことが嫌いな場合は、他者を好きになっても嫌いになっても不安定なので、自分の選択に対して自信が持てないだろう。誰かを好きになったら、自分のことが好きな人は好きなまま安定するが、自分のことが嫌いな人は好きになったり嫌いになったりすることが予想できる。c は「人」でなくても良い。「自分の言動」を当てはめても良い。例えば、進むべきか退くべきかの選択が迫られたときに、自分のことが好きな人は進むと決めたら進むことができるのに対して、自分のことが嫌いな人は進むと決めても退くべきだったかもしれないと思って立ち止まりやすい。

 自分のことが好きな場合でも、自己評価が高い場合(図3、図4の Waa や図5、図6の Wab が大きい場合)の方が自己評価が低い場合(図3、図4の Waa や図5、図6の Wab が小さい場合)よりも自信が持てるのではないかと思われる。通常の三者関係のバランスでは、ちょっと好きな人が好きな物を好きになる度合いよりも、尊敬するほど好きな人が好きな物を好きになる度合いの方が大きいと推測できるからである。図で表すと、図13の方が図14よりも自己評価(Waa)が高く、他者への好悪感情や自分の選択(Wac)に対する自信が持てるのではないかと思われる。自己評価が低いと自信がなくて図15のように他者に対する評価が小さくなることもあるだろう。

図13 図14 図15
図13
図14
図15

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カテゴリー:疑似ソシオン理論

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