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【新】バランス理論の数式表現 その8(荷重が0になる件の再考察)

 【新】バランス理論の数式表現 その3(3人の相互作用)では、ハイダーのバランス理論を数式表現する際に次の式(1)~(6)を仮定して、各荷重( Wab(t), Wac(t), Wba(t), Wbc(t), Wca(t), Wcb(t) )がどのように変化するかグラフで示した。

socion303.png

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t) + W_{ac}(t) \cdot W_{cb}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(1)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t) + W_{ab}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(2)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t) + W_{bc}(t) \cdot W_{ca}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(3)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t) + W_{ba}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(4)\\ \\ W_{ca}(t+dt) =\dfrac{W_{cc}(t) \cdot W_{ca}(t) + W_{cb}(t) \cdot W_{ba}(t)}{|W_{cc}(t)| + |W_{cb}(t)|}\cdots(5)\\ \\ W_{cb}(t+dt) =\dfrac{W_{cc}(t) \cdot W_{cb}(t) + W_{ca}(t) \cdot W_{ab}(t)}{|W_{cc}(t)| + |W_{ca}(t)|}\cdots(6)\\ \end{cases} \)

 【新】バランス理論の数式表現 その7(もう一つの式)では、ハイダーのバランス理論を数式表現する際に次の式(7)~(12)を仮定して、各荷重( Wab(t), Wac(t), Wba(t), Wbc(t), Wca(t), Wcb(t) )がどのように変化するかグラフで示した。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t) + W_{ac}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(7)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t) + W_{ab}(t) \cdot W_{cb}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(8)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t) + W_{bc}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(9)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t) + W_{ba}(t) \cdot W_{ca}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(10)\\ \\ W_{ca}(t+dt) =\dfrac{W_{cc}(t) \cdot W_{ca}(t) + W_{cb}(t) \cdot W_{ab}(t)}{|W_{cc}(t)| + |W_{cb}(t)|}\cdots(11)\\ \\ W_{cb}(t+dt) =\dfrac{W_{cc}(t) \cdot W_{cb}(t) + W_{ca}(t) \cdot W_{ba}(t)}{|W_{cc}(t)| + |W_{ca}(t)|}\cdots(12)\\ \end{cases} \)

 初期状態を Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1 にすると、それぞれの荷重は式(1)~(6)では次の図1のように変化し、式(7)~(12)では図2のように変化する。

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図1 式(1)~(6)での荷重の変化(Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1)

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図2 式(7)~(12)での荷重の変化(Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1)

 cの影響を排除するために Wca(0)=0, Wcb(0)=0 としたのだが、式(1)~(6)では Wab(t)Wba(t) が0に収束し(図1)、式(7)~(12)では Wac(t) が0のままで Wbc(t) は0に収束した(図1)。
 これは、式(1)~(6)、式(7)~(12)は Wca(0)=0, Wcb(0)=0 とすると、次の式(13)~(18)、式(19)~(24)のようになるため、当然の結果である。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(13)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t) + W_{ab}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(14)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(15)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t) + W_{ba}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(16)\\ \\ W_{ca}(t+dt) =W_{ca}(t)=0\cdots(17)\\ \\ W_{cb}(t+dt) =W_{cb}(t)=0\cdots(18)\\ \end{cases} \)

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t) + W_{ac}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(19)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(20)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t) + W_{bc}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(21)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(22)\\ \\ W_{ca}(t+dt) =W_{ca}(t)=0\cdots(23)\\ \\ W_{cb}(t+dt) =W_{cb}(t)=0\cdots(24)\\ \end{cases} \)

 式(13)では Wac(t) が0にならない限り、Wab(t+dt) は0に近づく。
 式(15)では Wbc(t) が0にならない限り、Wba(t+dt) は0に近づく。
 式(20)では Wab(t) が0にならない限り、Wac(t+dt) は0に近づく。
 式(22)では Wba(t) が0にならない限り、Wbc(t+dt) は0に近づく。
 そして、Wab(t), Wba(t), Wac(t), Wbc(t) がいったん0になると、Wab(t+dt), Wba(t+dt), Wac(t+dt), Wbc(t+dt) は0のままである。その様子が、図1、図2に現れている。

 問題は、Wca(t)=Wca(0)=0, Wcb(t)=Wcb(0)=0 の時に、式(13)、式(15)、式(20)、式(22)は妥当なのかどうかである。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(13)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(15)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(20)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(22)\\ \\ \end{cases} \)

socion111.gif

 式(1)は「aはcが好き、cはbが好き、だからaはbが好き」を表した式で、cが感情を持たない物や事や架空の存在だったり感情を持っていても好意の返報性が無い相手だった場合には「cはbが好き」が成立しないので「だからaはbが好き」も成立しない。式(13)は「aは以前からbとcが好き、しかしcはbのことが好きでも嫌いでもない、だからaもbのことが好きでも嫌いでもなくなってくる」という状態を表しているように見える。
 同様に式(3)は「bはcが好き、cはaが好き、だからbはaが好き」を表した式で、「cはaが好き」が成立しないので「だからbはaが好き」も成立しない。式(15)は「bは以前からaとcが好き、しかしcはaのことが好きでも嫌いでもない、だからbもaのことが好きでも嫌いでもなくなってくる」という状態を表しているように見える。
 この式(13)と式(15)の解釈は妥当で、実際に起こっていることなのだろうか?
 そもそもaもbも例えば感情を持たないcがbやaに無関心であることは最初から承知していたはずである。それなのに、cがbやaに無関心だからとbやaのことを好きでも嫌いでもなくなるという、何とも不可解な心理である。

 一方、式(8)は「aはbが好き、cもbが好き、だからaはcが好き」を表した式で、cが感情を持たない物や事や架空の存在だったり感情を持っていても好意の返報性が無い相手だった場合には「cもbが好き」が成立しないので「だからaはcが好き」も成立しない。式(20)は「aは以前からbとcが好き、しかしcはbのことが好きでも嫌いでもない、だからaもcのことが好きでも嫌いでもなくなってくる」という状態を表しているように見える。
 同様に式(10)は「bはaが好き、cもaが好き、だからbはcが好き」を表した式で、「cもaが好き」が成立しないので「だからbはcが好き」も成立しない。式(22)は「bは以前からaとcが好き、しかしcはaのことが好きでも嫌いでもない、だからbもcのことが好きでも嫌いでもなくなってくる」という状態を表しているように見える。
 この式(20)と式(22)の解釈は妥当で、実際に起こっていることなのだろうか?
 式(8)はcではなくbが感情を持たない物や事や架空の存在だったら、式(10)もcではなくaが感情を持たない物や事や架空の存在だったら、式(20)も式(22)も妥当なように思える。仲良かったのだけど好みの違いが分かって別れる様子を表してる。

 この問題を解決するヒントは【新】バランス理論の数式表現 その2(自分の評価も考慮)の図1にあるかもしれない。初期状態の Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1 は上の図1と同じで、Wab(t)Wba(t) は固定されてる。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =W_{ab}(t)\cdots(13')\\ \\ W_{ba}(t+dt) =W_{ba}(t)\cdots(15')\\ \end{cases} \)

 式(13)を式(13')に、式(15)を式(15')に置き換えてグラフを作成すると、図3のようになる。

socion389.png
図3 式(13'),(14),(15'),(16),(17),(18)での荷重の変化(Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1)

 Wac(t)Wbc(t) の変化は上の図1とほぼ同じである。
 a、b、cの三者関係でcが感情を持たない物や事や架空の存在などで Wca(t)=0, Wcb(0)=0 から変わりえない場合は、式(13),(15)、すなわち式(1),(3)を用いてはならず、式(13'),(15')になるような式を用いなければならないのかもしれない。aやbが感情を持たない物や事や架空の存在なども同様で、その場合にも問題が生じないように式(1)~(6)を修正しなければならないかもしれない。

 一方、式(20),(22)を次の式(20'),(22')に置き換えてグラフを作成すると、図4のようになる。

\( \begin{cases} W_{ac}(t+dt) =W_{ac}(t)\cdots(20')\\ \\ W_{bc}(t+dt) =W_{bc}(t)\cdots(22')\\ \end{cases} \)

socion390.png
図4 式(19),(20'),(21),(22'),(23),(24)での荷重の変化(Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1)

 変化したのは Wba(t) だけである。Wba(0)=1 だったが、Wac(t)=Wac(0)=0 で変わらなかったので、Wbc(t)=Wbc(0)=1 のbはcに対する好意の違いでaに対する好意が減って Wba(t)=0 に収束した状態である。ただし、aのbに対する好意は変わらず Wab(t)=Wab(0)=2 のままである。すなわち、aとbは両想いだったが好みの違いでaの片思いになってしまったようなものである。

 では、図3と図4を組み合わせたらどうなるだろうか?
 例えば、図4でaはbに対して片思いになってしまったが、aはbのことが好きだったのだから、ハイダーのバランス理論によれば、bの影響でcが好きになるはずである。それが図3である。その結果、aの片思いは避けられるはずである。そのような状態を表せる数式はどのようなものだろうか?
 cが感情を持たない物や事や架空の存在だったり感情を持っていても好意の返報性が無い相手だった場合に次のようなルールを設けてみる。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) :aがbを好きな程度はお互いがcを好きな程度で変わる\cdots(7)\\ \\ W_{ac}(t+dt) :aがcを好きな程度はbがcを好きな程度で変わる\cdots(2)\\ \\ W_{ba}(t+dt) :bがaを好きな程度はお互いがcを好きな程度で変わる\cdots(9)\\ \\ W_{bc}(t+dt) :bがcを好きな程度はaがcを好きな程度で変わる\cdots(4)\\ \\ W_{ca}(t+dt) :cはaに無関心\cdots(17)(23)\\ \\ W_{cb}(t+dt) :cはbに無関心\cdots(18)(24)\\ \end{cases} \)

 式で表すと次のようになり、それぞれの荷重の変化は図5のようになる。

\( \begin{cases} W_{ab}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ab}(t) + W_{ac}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ac}(t)|}\cdots(7)\\ \\ W_{ac}(t+dt) =\dfrac{W_{aa}(t) \cdot W_{ac}(t) + W_{ab}(t) \cdot W_{bc}(t)}{|W_{aa}(t)| + |W_{ab}(t)|}\cdots(2)\\ \\ W_{ba}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{ba}(t) + W_{bc}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{bc}(t)|}\cdots(9)\\ \\ W_{bc}(t+dt) =\dfrac{W_{bb}(t) \cdot W_{bc}(t) + W_{ba}(t) \cdot W_{ac}(t)}{|W_{bb}(t)| + |W_{ba}(t)|}\cdots(4)\\ \\ W_{ca}(t+dt) =W_{ca}(t)=0\cdots(17)\\ \\ W_{cb}(t+dt) =W_{cb}(t)=0\cdots(18)\\ \end{cases} \)

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図5 式(7),(2),(9),(4),(17),(18)での荷重の変化(Waa(0)=1, Wab(0)=2, Wac(0)=0, Wba(0)=1, Wbb(0)=1, Wbc(0)=1, Wca(0)=0, Wcb(0)=0, Wcc(0)=1)

 図5は頷ける結果である。問題は式(1)~(6)と式(7)~(12)を組み合わせて図5のような妥当な結果になるような数式を作ることである。

 cの影響を排除するために Wca(0)=0, Wcb(0)=0 にすると、図1、図2のような結果になってしまった問題を解決するヒントは【ソシオン理論の表記法】に書いた次の部分にもある。

 さて、b は a が好き(Wba > 0)だが、a は b に嫌われている(Wba < 0)と思っていることがあるだろう。そして、a の行動は事実よりも a の主観に基づいて決まる。したがってネットワーク上の各自の主観を考察するための表記が必要である。
 このブログでは a が思っている「b の a に対する評価」を Wba|a と書くことにする。同様に b が思っている「a の b に対する評価」を Wab|b と書く。他にも a が思っている「b の自分に対する評価」を Wbb|a、 b が思っている「a の自分に対する評価」を Waa|b と書く。一般に i が思っている「j の k に対する評価」を Wjk|i と書くことにする。
 「 b は a が好き」は「Wba|b > 0」であり、「 a が b に嫌われていると思っている」状態は「Wba|a < 0」である。「 a が b に好かれていると思っている」状態は「Wba|a > 0」である。
ソシオン理論の表記法

 このことを踏まえて式(1)~(6)と式(7)~(12)を書き換えると次の式(1')~(6')と式(7')~(12')になる。

\( \begin{cases} W_{ab|a}(t+dt) =\dfrac{W_{aa|a}(t) \cdot W_{ab|a}(t) + W_{ac|a}(t) \cdot W_{cb|a}(t)}{|W_{aa|a}(t)| + |W_{ac|a}(t)|}\cdots(1')\\ \\ W_{ac|a}(t+dt) =\dfrac{W_{aa|a}(t) \cdot W_{ac|a}(t) + W_{ab|a}(t) \cdot W_{bc|a}(t)}{|W_{aa|a}(t)| + |W_{ab|a}(t)|}\cdots(2')\\ \\ W_{ba|b}(t+dt) =\dfrac{W_{bb|b}(t) \cdot W_{ba|b}(t) + W_{bc|b}(t) \cdot W_{ca|b}(t)}{|W_{bb|b}(t)| + |W_{bc|b}(t)|}\cdots(3')\\ \\ W_{bc|b}(t+dt) =\dfrac{W_{bb|b}(t) \cdot W_{bc|b}(t) + W_{ba|b}(t) \cdot W_{ac|b}(t)}{|W_{bb|b}(t)| + |W_{ba|b}(t)|}\cdots(4')\\ \\ W_{ca|c}(t+dt) =\dfrac{W_{cc|c}(t) \cdot W_{ca|c}(t) + W_{cb|c}(t) \cdot W_{ba|c}(t)}{|W_{cc|c}(t)| + |W_{cb|c}(t)|}\cdots(5')\\ \\ W_{cb|c}(t+dt) =\dfrac{W_{cc|c}(t) \cdot W_{cb|c}(t) + W_{ca|c}(t) \cdot W_{ab|c}(t)}{|W_{cc|c}(t)| + |W_{ca|c}(t)|}\cdots(6')\\ \end{cases} \)

\( \begin{cases} W_{ab|a}(t+dt) =\dfrac{W_{aa|a}(t) \cdot W_{ab|a}(t) + W_{ac|a}(t) \cdot W_{bc|a}(t)}{|W_{aa|a}(t)| + |W_{ac|a}(t)|}\cdots(7')\\ \\ W_{ac|a}(t+dt) =\dfrac{W_{aa|a}(t) \cdot W_{ac|a}(t) + W_{ab|a}(t) \cdot W_{cb|a}(t)}{|W_{aa|a}(t)| + |W_{ab|a}(t)|}\cdots(8')\\ \\ W_{ba|b}(t+dt) =\dfrac{W_{bb|b}(t) \cdot W_{ba|b}(t) + W_{bc|b}(t) \cdot W_{ac|b}(t)}{|W_{bb|b}(t)| + |W_{bc|b}(t)|}\cdots(9')\\ \\ W_{bc|b}(t+dt) =\dfrac{W_{bb|b}(t) \cdot W_{bc|b}(t) + W_{ba|b}(t) \cdot W_{ca|b}(t)}{|W_{bb|b}(t)| + |W_{ba|b}(t)|}\cdots(10')\\ \\ W_{ca|c}(t+dt) =\dfrac{W_{cc|c}(t) \cdot W_{ca|c}(t) + W_{cb|c}(t) \cdot W_{ab|c}(t)}{|W_{cc|c}(t)| + |W_{cb|c}(t)|}\cdots(11')\\ \\ W_{cb|c}(t+dt) =\dfrac{W_{cc|c}(t) \cdot W_{cb|c}(t) + W_{ca|c}(t) \cdot W_{ba|c}(t)}{|W_{cc|c}(t)| + |W_{ca|c}(t)|}\cdots(12')\\ \end{cases} \)

 式(1')~(6')と式(7')~(12')は次のような表記の方が良いかもしれないが、ここでは引用しやすくするために上の表記を使う。

\( \begin{cases} W^a_{ab}(t+dt) =\dfrac{W^a_{aa}(t) \cdot W^a_{ab}(t) + W^a_{ac}(t) \cdot W^a_{cb}(t)}{|W^a_{aa}(t)| + |W^a_{ac}(t)|}\cdots(1')\\ \\ W^a_{ac}(t+dt) =\dfrac{W^a_{aa}(t) \cdot W^a_{ac}(t) + W^a_{ab}(t) \cdot W^a_{bc}(t)}{|W^a_{aa}(t)| + |W^a_{ab}(t)|}\cdots(2')\\ \\ W^b_{ba}(t+dt) =\dfrac{W^b_{bb}(t) \cdot W^b_{ba}(t) + W^b_{bc}(t) \cdot W^b_{ca}(t)}{|W^b_{bb}(t)| + |W^b_{bc}(t)|}\cdots(3')\\ \\ W^b_{bc}(t+dt) =\dfrac{W^b_{bb}(t) \cdot W^b_{bc}(t) + W^b_{ba}(t) \cdot W^b_{ac}(t)}{|W^b_{bb}(t)| + |W^b_{ba}(t)|}\cdots(4')\\ \\ W^c_{ca}(t+dt) =\dfrac{W^c_{cc}(t) \cdot W^c_{ca}(t) + W^c_{cb}(t) \cdot W^c_{ba}(t)}{|W^c_{cc}(t)| + |W^c_{cb}(t)|}\cdots(5')\\ \\ W^c_{cb}(t+dt) =\dfrac{W^c_{cc}(t) \cdot W^c_{cb}(t) + W^c_{ca}(t) \cdot W^c_{ab}(t)}{|W^c_{cc}(t)| + |W^c_{ca}(t)|}\cdots(6')\\ \end{cases} \)

\( \begin{cases} W^a_{ab}(t+dt) =\dfrac{W^a_{aa}(t) \cdot W^a_{ab}(t) + W^a_{ac}(t) \cdot W^a_{bc}(t)}{|W^a_{aa}(t)| + |W^a_{ac}(t)|}\cdots(7')\\ \\ W^a_{ac}(t+dt) =\dfrac{W^a_{aa}(t) \cdot W^a_{ac}(t) + W^a_{ab}(t) \cdot W^a_{cb}(t)}{|W^a_{aa}(t)| + |W^a_{ab}(t)|}\cdots(8')\\ \\ W^b_{ba}(t+dt) =\dfrac{W^b_{bb}(t) \cdot W^b_{ba}(t) + W^b_{bc}(t) \cdot W^b_{ac}(t)}{|W^b_{bb}(t)| + |W^b_{bc}(t)|}\cdots(9')\\ \\ W^b_{bc}(t+dt) =\dfrac{W^b_{bb}(t) \cdot W^b_{bc}(t) + W^b_{ba}(t) \cdot W^b_{ca}(t)}{|W^b_{bb}(t)| + |W^b_{ba}(t)|}\cdots(10')\\ \\ W^c_{ca}(t+dt) =\dfrac{W^c_{cc}(t) \cdot W^c_{ca}(t) + W^c_{cb}(t) \cdot W^c_{ab}(t)}{|W^c_{cc}(t)| + |W^c_{cb}(t)|}\cdots(11')\\ \\ W^c_{cb}(t+dt) =\dfrac{W^c_{cc}(t) \cdot W^c_{cb}(t) + W^c_{ca}(t) \cdot W^c_{ba}(t)}{|W^c_{cc}(t)| + |W^c_{ca}(t)|}\cdots(12')\\ \end{cases} \)

 例えば、Wac|a(t)Wac|b(t) は同じであるとは限らない。図1は式(1)と式(4)の Wac(t) を同じ値にして得られたグラフであるが、式(1')と式(4')のように異なる値を用いるべきかもしれず、図2は式(7)と式(9)の Wac(t) を同じ値にして得られたグラフであるが、式(7')と式(4')のように異なる値を用いるべきかもしれない。他の荷重についても同様である。

 試しに次のように仮定すると式(1')~(6')と式(7')~(12')は同じ式になり、初期状態を Waa|a(0)=1, Wab|a(0)=2, Wac|a(0)=0, Wba|b(0)=1, Wbb|b(0)=1, Wbc|b(0)=1, Wca|c(0)=0, Wcb|c(0)=0, Wcc|c(0)=1 にすると、それぞれの荷重は上の図5と同じように変化する。

\( \begin{cases} W_{ab|a}(t) = W_{ab|b}(t) = W_{ab|c}(t) = W_{ab}(t)\\ \\ W_{ac|a}(t) = W_{ac|b}(t) = W_{ac|c}(t) = W_{ac}(t)\\ \\ W_{ba|a}(t) = W_{ba|b}(t) = W_{ba|c}(t) = W_{ba}(t)\\ \\ W_{bc|a}(t) = W_{bc|b}(t) = W_{bc|c}(t) = W_{bc}(t)\\ \\ W_{ca|a}(t) = W_{ca|b}(t) = W_{ac|a}(t) = W_{ac}(t)\\ \\ W_{cb|a}(t) = W_{cb|b}(t) = W_{bc|b}(t) = W_{bc}(t)\\ \\ W_{ca|c}(t) = W_{ca}(t) = 0\\ \\ W_{cb|c}(t) = W_{cb}(t) = 0\\ \end{cases} \)

 上の仮定は客観的にはaやbに無関心なcの好悪感情( Wca=0, Wcb=0 )を好意の返報性が生じている( Wca=Wac, Wcb=Wbc )かのようにaとbが勘違いしてる状態である。

socion111.gif socion052.gif

 図5と同じ結果になったのは、上の仮定を式(1')~(6')と式(7')~(12')に代入した結果を式(7),(2),(9),(4),(17),(18)と比べてみれば、当然であることが分かる。しかし、上の仮定はcの好悪感情以外を客観的な好悪感情に一致させていて現実的ではないような気がするし、aやbが想像してるcの好悪感情も特殊な設定である。今後も続けて同じような仮定で進めない方が良いかもしれない。
 客観的な好悪感情ではなく主観的な好悪感情で数式にした式(1')~(6')と式(7')~(12')は初期状態を設定する荷重が(1)~(6)と式(7)~(12)の場合の3倍近くになる。また、好悪感情の変化をシミュレートするにはそれぞれの主観的な好悪感情を結び付ける数式も必要である。したがって、主観的な好悪感情を結び付ける数式が思いつくまでは、主観的な好悪感情が客観的な好悪感情と一致する仮定でシミュレートするしかないだろう。


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カテゴリー:疑似ソシオン理論
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