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自己評価の決まり方

 自分自身に対する評価(Waa)は他者からの評価(Wba,Wca,…)で決まる。他者から高く評価されている人は自分自身に対する評価が高くなるし、他者からの評価が低い人は自分自身に対する評価も低くなるだろう。多くの人に好かれている人は自分のことが好きになるだろうし、多くの人に嫌われている人は自分のことが嫌いになるだろう。多くの人に愛されている人は自分のことを愛せるようになるだろし、他者に愛された経験のない人は自分のことを愛することができないだろう。

他人からの評価で自分自身に対する評価が決まる

 ただし、他者から愛されて(Wba>0)いても愛されている実感が持てない(Wba|a≦0)と自分自身に対する評価(Waa)は増えないだろう。だから、自分自身に対する評価(Waa または Waa|a)は自分が感じている他者からの評価(Wba|a,Wca|a,…)で決まる。自分自身に対する荷重 Waa|a は自分が感じている他者からの荷重(Wba|a,Wca|a,…)の関数である。

 Waa|a = f(Wba|a,Wca|a,…)  ・・・(1)

 自分自身に対する荷重 Waa が他者からの荷重(Wba,Wca,…)の和に比例すると考える案もある(『ソシオン理論入門』28ページ)ようだが、私は単純に足し合わせるのではなく、自分から他者への荷重(Wab|a,Wac|a,…)に応じて係数が変わると考えた方が納得できる。
 自分の愛している人から愛されると嬉しくなって自分自身に対する評価 Waa|a が上がるだろが、関心のない人から好かれても、また嫌っている人から好かれてもそれほど嬉しくなくて、自分自身に対する評価 Waa|a は好きな人から好かれるよりも上がらないだろう。逆に自分の愛している人に嫌われるとショックが大きくて自分自身に対する評価 Waa|a が大きく下がるだろうが、関心のない人や嫌っている人から嫌われてもそれほどショックを受けず、自分自身に対する評価 Waa|a は好きな人から嫌われるよりも下がらないだろう。
 しかし、どんな人からでも好かれること、プラスに評価されることは嬉しくて、自分自身に対する評価 Waa|a を上げる。また、どんな人からでも嫌われること、マイナスに評価されることは嫌で、自分自身に対する評価 Waa|a を下げる。
 そんな関係を式で表せば良いのではないかと思われる。
 分かりやすくするため他者を一人だけ(bだけ)にして式に表すと、次のようになると思われる。

 ΔWaa|a = p・exp(q・Wab|a)・ΔWba|a  ・・・(2)
 (p,q は正数)

 この式であれば、自分の相手に対する評価 Wab|a が高い方が ΔWaa|a に対する影響が大きく、Wab|a がマイナスであっても、ΔWaa|a に対する影響は相手から与えられた評価 ΔWba|a の係数としては小さくなるがプラスのままになる。そして式全体としては、相手から与えられた評価 ΔWba|a がプラスであれば、自分自身に対する評価の増分 ΔWaa|a は常にプラスになり、ΔWba|a がマイナスであれば、ΔWaa|a は常にマイナスになる。(他に同じ性質を持つもっと良い式が思いつけば訂正します。)

 上の式(2)を1番目の他人、2番目の他人、3番目の他人、…、n番目の他人について足し合わせれば、ΔWaa|a を表す式になると思われる。(他に同じ性質を持つもっと良い式が思いつけば訂正します。)

 ΔWaa|a = p・[ exp(q・Wa1|a)・ΔW1a|a + exp(q・Wa2|a)・ΔW2a|a + exp(q・Wa3|a)・ΔW3a|a +…+ exp(q・Wan|a)・ΔWna|a ] ・・・(3)
 (p,q は正数)

 上の式(3)は Waa|a の増分に対する式であるが、Wa1|a、Wa2|a、Wa3|a、…、Wan|a が一定であるとすれば(実際はその都度変化する)、現在の自分自身に対する荷重 Waa|a は次のようになる。(他に同じ性質を持つもっと良い式が思いつけば訂正します。)

 Waa|a = p・[ exp(q・Wa1|a)・W1a|a + exp(q・Wa2|a)・W2a|a + exp(q・Wa3|a)・W3a|a +…+ exp(q・Wan|a)・Wna|a ] ・・・(4)
 (p,q は正数)

自分の相手に対する評価が相手からの評価に重み付けされる

 例えば、幼い子(a)にとって唯一と言っても良いような他者である両親(b、c)の価値は非常に高く(Wab|a ≫ 0、Wac|a ≫ 0)、両親からの評価(Wba|a、Wca|a)は自分自身の価値(Waa|a)に大きな影響を与える。愛されて褒められたり笑顔で接してもらえる(ΔWba|a > 0、ΔWca|a > 0)と自分の評価が上がり(ΔWaa|a > 0)、嫌われて殴られたり不機嫌な顔で見下ろされる(ΔWba|a < 0、ΔWca|a < 0)と自分の評価が下がる(ΔWaa|a < 0)。両親の子に対する日々の態度の積み重ねで、子は自分を価値ある存在だと思ったり(Waa|a > 0)、自分には価値がなく死んでも良い存在だと思ったり(Waa|a ≪ 0)する。
 大人になって他者(i)が増えてプラスの評価を与えられて(ΔWia|a > 0)も、自分自身に対する評価の増分 ΔWaa|a が小さくて、自分自身の価値(Waa|a)の符号が変わりにくいかもしれない。両親に自分のことを価値ある存在だと思わせてもらえた人は自己評価が高いまま生き、自分のことを価値のない存在だと思わされた人は自己評価が低いままに一生を終えることがあるかもしれない。
 しかし、自分にとって両親に匹敵するくらい価値のある人(Wai|a ≫ 0)が表れて、その人に高く評価してもらえれば(ΔWia|a ≫ 0)、自分自身の評価(Waa|a)の符号がプラスになって(Waa|a > 0)、自分自身を価値のある存在だと思えるだろう。
 ただし、自分にとって両親を超えるくらい価値のある人(Wai|a ≫ 0)に思いっきり批判されたら(ΔWia|a ≪ 0)、自分のことを価値のある存在だと思っていた人(Waa|a > 0)も、自分自身の評価(Waa|a)の符号がマイナスになって(Waa|a < 0)、自分自身を価値のない存在だと思ってしまうこともあるだろう。

追記(2008/10/29):
 式(2)については、次の式(2’)の方が良いかもしれず、考察中である。

 ΔWaa|a = p・[exp(q・Wab|a)−1]・ΔWba|a  ・・・(2’)
 (p,q は正数)

 式(2’)では、嫌いな人による評価の自己評価への影響は式(2)と同じく好きな人による評価よりも小さいが、嫌いな人にプラスの評価をされた場合は自己評価が少し低くなり、嫌いな人にマイナスの評価をされた場合は自己評価が少し高くなる。

追記(2008/11/03):
 式(2)については、式(2’)よりも次の式(2'')の方が良いかもしれず、考察中である。

 ΔWaa|a = p・[exp(q・Wab|a)-exp(-r・Wab|a)]・ΔWba|a  ・・・(2'')
 (p,q,r は正数、q > r)

 式(2’)では、嫌いな人に評価されたときの自己評価への影響は小さく、相手のことをどんなに嫌いでもそれほど嫌いでない人による評価とほとんど差がなかった。式(2'')では、相手のことを嫌いであればあるほど、評価されたときの自己評価への影響は大きくなる。ただし、よほど嫌いでなければ影響は小さい。式(2’)は式(2'')の「r = 0」に相当する。

 さらに、式(2)(2’)(2'')では、ΔWaa|a はΔWba|a に比例することになっているが、実際は比例するかどうか分からず、ΔWba|a の関数としての表記にしておいた方が良いかもしれない。また、Wab|a が含まれる部分の式も Wab|a の関数としての表記にしておいた方が良いかもしれない。すなわち、次の式(5)のような一般式になる。

 ΔWaa|a = η・f(Wab|a)・g(ΔWba|a)  ・・・(5)

 ηがどのような値になるか、f(Wab|a)やg(ΔWba|a)がどのような関数になるかは実験などによって調べることになる。式(2)(2’)(2'')は日常生活での経験からイメージした式に過ぎない(参考図)。

追記(2008/11/10):
 式(5)は式(2)(2’)(2'')を一般化したのでΔWaa|a を求める式になっているが、Waa|a を求める次の式(6)の方が良いかもしれない。

 Waa|a = η・f(Wab|a)・g(Wba|a)  ・・・(6)

 式(6)を基にした場合、Waa|a を求めるために使われている g(Wba|a) と同じ関数を g(ΔWba|a) として式(5)のようにΔWaa|a を求める際に使えるとは限らないので注意が必要である。 Wab|a が変化しなければ次のように求めることになる。

 ΔWaa|a = η・f(Wab|a)・[ g(Wba|a+ΔWba|a) - g(Wba|a) ]  ・・・(5’)

 b からの評価(Wba|a)が変化した後と変化する前の自己評価(Waa|a)の差がΔWaa|a である。「Wba|a = 0 かつ g(Wba|a) = 0」の時に、すなわち、初めて b から評価された場合は式(5)になるが、「ΔWba|a = Wba|a」と見なせるので、次の式(5'')になる。

 ΔWaa|a = η・f(Wab|a)・g(Wba|a)  ・・・(5'')

 また、b 以外からの評価を含めた一般式は次のようになる。

 Waa|a = η・[ f(Wa1|a)・g(W1a|a) + f(Wa2|a)・g(W2a|a) + f(Wa3|a)・g(W3a|a) +…+ f(Wan|a)・g(Wna|a) ] ・・・(7)

 W1a|a ~ Wna|a の一つだけが変化した場合のΔWaa|a は式(5’)のように求める。


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カテゴリー:疑似ソシオン理論

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