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他者の行動を予想・期待する際の大前提

 恋愛のテクニックとして「好意の返報性」の心理を紹介して「好きであることを相手に示せば好きになってくれる」のような助言がある。それは相手が「好意の返報性」の心理に支配されることを前提にしている。相手が「好意の返報性」の心理に支配されなければ「好きになってくれる」という予想は外れる。
 「好意の返報性」の心理を知らなくても「好意に対しては好意が返ってくる」と予想することはある。予想しないとしたら、「好意に対しては好意が返ってくる」の成立しないケースを多く経験しているからだろう。しかし、「好意の返報性」が成立しないケースは相手に「好意の返報性」の心理がないことを示しているわけではない。「好意の返報性」の心理があっても、別の心理によって好意に対して好意が返ってこない状態が観察されるのだろう。

 「ハイダーのバランス理論」も同様である。ハイダーのバランス理論で説明できる「味方の敵は敵」「敵の味方は敵」「敵の敵は味方」「友達の友達は友達」などは有名であるが、自分の態度を決める際に使われるだけでなく、他者の行動を予想する際にも使われる。それは、他者がハイダーのバランス理論の心理に支配されることを前提にしている。「人はハイダーのバランス理論に基づいて相手の行動を予想したり期待したりする」として分析をするのなら、「相手の心の中にバランス理論のイメージがある」と仮定することが大前提になる。

 さて、相手の心の中にバランス理論に基づくイメージがあることを前提に相手の行動を予想したり期待したりするのだが、どのようなイメージを仮定するかで予想が異なってくる。通常は自分の心の中にあるイメージと同じイメージの存在を仮定する。実際に相手の心の中にあるイメージが仮定と異なると予想が外れることがある。

a の心の中
Wij|a
(i,jはa,b,c)
a の思う
b の心の中
Wij|b|a
(i,jはa,b,c)
実際の
b の心の中
Wij|b
(i,jはa,b,c)
図1
図1
図2
図2
図3
図3
図4
図4
図5
図5
図6
図6

 例えば、a は b と仲良しで一緒に c を嫌っていると思っていて(図1)、b も同じイメージを持っていると思っていても(図2)、実際の b は c とも仲良しで一緒に a のことが好き(図3)かもしれない。この場合、a は b が c を嫌ってくれると予想する(嫌いであるときに示す行動を予想する)が、予想は当たらない。
 例えば、a は b と仲良しで一緒に c のことが好きだと思っていて(図4)、b も同じイメージを持っていると思っていても(図5)、実際の b は c と仲良しで一緒に a を嫌っている(図6)かもしれない。この場合、a は b が c に好意を示すと予想し(好きであるときに示す行動を予想し)、その予想は当たる。しかし、予想が当たっても同じイメージとは限らない。

 自分の仮定と実際に相手の心の中にあるイメージが異なっていることが分かったら、自分の仮定を修正するか、相手の思いを自分の仮定に合わせようと行動することになるだろう。
 例えば、仲良しだと思っていた b について図2のようなイメージを仮定したが実際は図3のようなイメージであることが分かった a は、自分のイメージを図7、あるいは図8のように変えるか、b のイメージが図9のようになるように行動しそうである。

図1から変えた
a の心の中
Wij|a
(i,jはa,b,c)
a の望む
b の心の中
Wij|b
(i,jはa,b,c)
図7
図7
図8
図8
図9
図9

 相手の行動を予想したり期待する具体例は、このブログで何度も紹介するだろう。その際にハイダーのバランス理論に基づいて分析することになるが、本人の心の中のイメージと本人が想像する相手の心の中のイメージを区別している。そして予想が当たらなかった場合についても考察するが、その際は本人が想像する相手の心の中のイメージと実際の相手の心の中のイメージを区別している。
 記号表記(参照)では、例えば「Wbc|a」と「Wbc|b|a」と「Wbc|b」を区別して考察する予定である。


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カテゴリー:疑似ソシオン理論

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