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更生期待の構図

 好きな人が好きなものは好きになり、好きな人が嫌いなものは嫌いになる。嫌いな人が好きなものは嫌いになり、嫌いな人が嫌いなものは好きになる。ハイダーのバランス理論で説明されるこの心理は相手の立場でも同じである。
 私のことを好きな人は私が好きなものを好きになってくれるだろうし、私が嫌いなものは嫌いになってくれるだろう。私のことを嫌いな人は私が好きなものを嫌いになるかもしれないし、私が嫌いなものを好きになるかもしれない。そのように自分に対する相手の好悪感情から自分の好きなものや嫌いなものに対する相手の好悪感情を推測できるし、期待することもあるだろう。これは相手の立場でバランス理論を考える(参照)。
 ここでは、その一例として他者に対する更生期待の構図について述べる。

図1 図2 図3
図1 図2 図3

 a に好意を持っている人 b が悪いこと c をしていたとする。これは b が c に対してプラスの評価(Wbc|b > 0)をしているとして表現できる(図1)。b が c をやめた状態は b が c に対してマイナスの評価(Wbc|b < 0)をしているとして表現できる。a が b に c をやめて欲しい(Wbc|b|a < 0)場合は、まず、a が c に対してマイナスの評価(Wac|a < 0)をしていることを b に知ってもらう(Wac|b < 0)必要がある(図2)。自分のことを嫌いになられては困るので好意の返報性を利用して b のことが好きであることも示して知ってもらう(Wab|b > 0)必要がある(図2)。これで b にとってバランスの悪い状態になった。b は a のことが好き(Wba|b > 0)なら c をやめる決意(Wbc|b < 0)をしなければならない(図3)。
 これが a が b に更生を期待する際の構図である。

 しかし、場合によっては、b は a を嫌う(Wba|b < 0)ことで自分にとってのバランスを安定した状態にするかもしれない(図4)。a にとっては期待を裏切られた状態であり、a が b のことを嫌えば(Wab|a < 0)a にとってもバランスの良い状態になり安定してしまう(図5)。

図4 図5
図4 図5

 a が本当に b のことを大事に思っているのなら、好意の返報性を期待して図2の状態になってもらうまで図4の状態を保ち、図2の状態から図3の状態に移ることを期待し続けるしかない。


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カテゴリー:疑似ソシオン理論

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